岡本会計事務所が、経営者に生命保険の見直しを勧めるのはなぜか。
それは、生保代理店の中には、解約返戻金や満期返戻金の話をした際に、保険会社の立場で契約者に話をするため、契約者に不利な保険の転換を勧めたり、必要な終身保険を大幅に減額させて契約者に損失を与える代理店がいるからです。契約者が知らない事をよいことにリスクの説明責任がある代理店が契約者にリスクである損失を与えているのです。
保険会社や保険代理店の中には、この保険は『貴方のため保険だ』とか『個人で大変なら会社の口座から引き落とせばいい』といった事を口にする者がいる。こうした者はリスクの説明責任を忘れた無知な代理店であるので、リスク説明がない場合には、その人物を信用しないようにすべきです。
生命保険の押し売りや保険の転換は安易に受け入れてはだめです。
経営者が考えるべき生命保険は、『会社のため保障』と『退職等準備資金』です。
第一の目的は『会社のための保障』、すなわち万が一の事態への対応です。
それは、企業の周囲にいる「取引先」「金融機関」「従業員」「顧客」「株主」「経営者の家族」等の関係者に対して、万が一の事態のときの課題がすべてクリアできる状況にあるかということです。
この『保障』がないことで困惑する「経営者の家族」「従業員」がいることを忘れてはいけません。
これをクリアする“責任”が『経営者』にはあるのです。
第二の目的は『退職等準備資金』です。
この準備資金には、『会社が計画している
設備投資』に対する準備資金と『将来の役員退職金』に対する準備資金とがあります。
経営者である以上「10年後には自社社屋を建てたい。」とか「あと20年後には後継者に会社を譲り退職金を貰いたい。」という目標に向けての節税を行いながらの準備です。
経営者が生命保険に加入する際の選択のポイントは、上記のように『死亡保障』又は『生存保険金』のどちらに重きを求めますかだと思います。
言っておきますが、どちらか一方ではないのです。本来は両方でバランスが取れていないといけないのですから。
『死亡保障』に重きを置く経営者は、自分自身に万が一の事態が発生した場合、「金融機関」「取引先」「従業員」からの支払い要求に対応できる金額を準備して「経営者の家族」が困惑しないために加入されます。
中には『生命保険は個人で十分加入している』という『経営者や経営者の家族』がおられますが、その方々で「会社の借金支払」にその資金を出される方は現実的には僅かです。
なぜなら、経営者個人加入の保険金は『自分たちの生活』に必要な資金だからです。
『企業を存続させて経営していく』のに必要な資金を残してやることを考えていない『経営者』はある意味“経営者失格”とも考えられます。
『生存保険金』に重きを置かれる経営者は、年齢的に若いか又は将来の会社計画を持っている者または後継者がおられる者で将来退職する時の退職金準備を考えている者です。
この生命保険の選択には、企業の利益と資金繰りが大きく影響を与えています。
一度『契約者』『被保険者』『保険金受取人』『保険契約期間』等を確認してください。
【会社】と【家族】を守れるかどうかの判断は、『社長』である貴方の判断にあります。
【保険の話を聞いて助言してくれる税理士・税理士事務所】に相談してください。
生命保険契約は、他に比べて長期間の契約になりますので、さまざまなニーズの変化が想定されます。
①保険金の減額
減額することにより、保険料の負担を軽くする方法
②追加契約
保障額を増やしたり、新たに保障を加えることが出来ます。
③契約転換制度
保険の積立部分を転換価格として新しい契約の一部に充当して保障内容を変更できる制度です。
ただし、転換は保障内容・配当金・解約返戻金で不利になるケースが多くありますので慎重に考える必要があります。
④払済保険
保険料の払込を中止して、その時点での解約返戻金をもとに、保険期間を変えないで同じ種類の保険又は養老保険に変更する方法です。
生命保険は加入して終わりではありません。
生命保険にも多くの種類があり、主契約や特約により法人契約の場合の経理処理が異なるので注意が必要です。
損金になる場合でも保険料として処理できずに、従業員の給料や役員の賞与になってしまうケースがあります。
この場合の損金できる旨の説明はウソではありませんが、従業員・役員の所得税・市民税の増額や役員賞与の法人所得加算になりますので気をつけてください。
令和元年7月以降に生命保険について大幅な税制改正がありました。 従前のような全額損金算入できる生命保険は、保障がわずかなものに限定されています。また、解約返戻率に応じて損金算入できる割合が決まっております。必ず信頼できる税理士にご相談ください。 事業規模が変われば保障が変わるのは当然です。何の為に企業で加入するのかの説明を受けてください。貴方の為だけでなく、会社存続や従業員の将来のための保険なのですから、一定の期間での見直しも必要です。